薄毛を知る

Know about thinning hair

薄毛を知る

薄毛とは、毛髪の量が減ったり細くなるなどして、分け目が目立ったりボリュームが減ったりする状態を指します。
男性と女性の薄毛にはそれぞれ異なる特徴があります。

 
 

睡眠のゴールデンタイムはウソ!?
成長ホルモンには骨や筋肉の成長促進作用のほかに、代謝や脂肪分解を促進する作用などがあります。
「睡眠のゴールデンタイムは22時〜2時」と呼ばれる場合がありますが、これは成長ホルモンの分泌から言われるようです。成長ホルモンは、主に眠ること(特に深い睡眠:ノンレム睡眠)で活発に分泌され、ノンレム睡眠は睡眠の最初で出現することが多いため、一般的な就寝時刻から逆算して22時〜2時が導かれたようです。
しかし、睡眠は、覚醒→ノンレム睡眠→レム睡眠を1サイクル(約 90 分)として、1 晩に3~5 サイクルを繰り返します。ですから、就寝時刻が何時であっても十分な睡眠が取れていれば、成長ホルモンは活発に分泌されます。
また、性ホルモンの分泌と睡眠の関係を調べた文献では、睡眠と性ホルモンの分泌には相関があり、男性ホルモンが関与する毛髪の成長に影響を与えると考えられます。
* Sowers MF, Zheng H, Kravitz HM, et al. Sex steroid hormone profiles are related to sleep measures from polysomnography and the Pittsburgh sleep quality index. Sleep. 2008;31:1339-1349.
 
 
男性の薄毛の特徴
一般に男性の薄毛は、頭頂部或いは前頭部の後退から始まるケースが多く、早くは20代から薄毛が目立つ場合もあります。抜け毛が多くなり次第に頭頂部が薄くなる、前頭部が後退するなどの症状が特徴の男性型脱毛症(AGA)は、主に男性ホルモンの増加が原因とされています。
また、男性の薄毛は優性遺伝によって受け継がれる可能性が高く、両親や母方の家系にAGAを発症した方がいる場合、AGAを発症する可能性が高まります。
 
 
女性の薄毛の特徴
一般的に女性の薄毛は、男性ほどホルモンの影響は受けません。多くの場合、加齢が主な要因で頭髪全体の毛髪が細くなりボリュームを失うことで、分け目やつむじの地肌が目立つ状態になってしまいます。
女性ホルモン(エストロゲン)は、女性らしい身体つきのために働くほか、骨や毛髪の成長のための役割も担っています。加齢によりエストロゲンが減少すると、一つの毛穴から出る毛髪の本数(毛群といいます)が減ったり、毛髪自体が細くなってしまいます。
 

 
また、不規則な生活習慣、パーマや染色、ストレス、ホルモンバランスの乱れなど、女性の薄毛は加齢以外にも多くの要因があげられます。
 
 

円形脱毛
十円ハゲなどとも呼ばれ、かつてはストレスが原因とされました。しかし、近年は毛母細胞に対する自己免疫疾患と考えられています。
つまり、毛母細胞が異物と認識され障害を受けた結果、毛髪の産生が止まり脱毛が起こる疾患です。
男女差はなく全年齢層に出現し、多因子遺伝性疾患(遺伝要因だけでなく環境要因との相互作用が関係する遺伝で、高血圧や糖尿病などがある。)と考えられていて、爪に針で突いたような窪みが見られることもあります。
 
 
分娩後脱毛
妊娠後期になると女性ホルモンの分泌が増え、成長期にある毛髪の割合が増えるので抜け毛の数が減ります。しかし、出産が終わると本来のホルモン状態に戻るので、一気に成長期から休止期に入る毛髪の割合が増え抜け毛の数が増えます。これは、出産後2~5ヶ月ごろから始まりますが、ほとんどの場合半年程度で元の抜け毛の数に戻るのが一般的です。
 
 
牽引性脱毛・圧迫性脱毛
ポニーテールやヘアゴムで毛髪を結んだり、ヘアピンやヘアエクステなど物理的な力によって毛髪が抜ける症状のことです。
常に同じ髪型や分け目にして、同じ部位に負荷がかかっている場合も牽引性脱毛症を引き起こす可能性がありますので、同じ分け目は避ける、休日など外出の機会がない時は毛髪を結ばない、などの対策があります。